パニック障害とは
突然、動悸や窒息感を感じ、それが「死んでしまいそう」なほど強く自分ではコントロールできないほどの状態をパニック発作といいます。 そのために、日常生活を制限せざるを得ない状態をパニック障害といいます。
1-2%の人が発症すると言われ、女性に発症しやすいといわれています。 はじめは体に何か異常があるのではないかと思い、病院で検査を受ける方が多いでしょう。実際に内科的異常が無かった人はパニック障害の可能性があります。
発作で生命の危機に直面する事はありませんが、患者さん自身は「死んでしまうかも」と非常に苦しい思いをして、救急車で病院に運ばれる人もいます。
このような発作が突然起きるため、また発作が起きたらどうしようかと不安になり、電車やエレベーターなど発作が起きやすい場所を避けるようになります。 電車に乗れない、会議で狭い場所に座れないなど日常生活に多大な影響があるにも関わらず、身体の異常が無いために理解されにくい疾患です。
パニック障害では薬による治療とあわせて、少しずつ苦手なことに慣れていく心理療法が行われます。無理をせず、自分のペースで取り組むことが大切です。周囲もゆっくりと見守りましょう。
主な症状
パニック障害の症状は大きく3つあります。パニック発作・予期不安・広場恐怖です。
- パニック発作:突然起きる激しい動悸、胸苦しさ、息苦しさ、めまいなどの身体症状を伴った強い不安です。パニック障害の場合はこれらは予期せず起こります。
- 予期不安:パニック発作を何度も繰り返すうちに、発作を恐れるようになります。「また起きるのではないか」「次は死んでしまうのではないか」との不安が消えなくなります。不安から仕事が続けられない等行動が変化することもあります。
- 広場恐怖:パニック発作が起きた時にそこから逃れられない、助けが呼べないのではないかと思う場所や状況を恐れ避けるようになります。一人で外出出来ない、人ごみが苦手、電車やエレベーターに乗れない、会議室に入れないなど社会生活を著しく損なう症状があります。
治療法
精神療法的アプローチと薬物療法の2つを組み合わせておこないます。
まずは、抗不安薬や抗うつ薬でパニック発作を起こりにくくします。発作が治まってからは苦手となったものに段階を得て挑戦していきます。同時にその時の自分の不安な気持ちと折り合いをつける方法を探っていきます。これら精神療法的アプローチは簡単ではありませんので主治医とよく話し合って進める事が大切です。
治療時のエピソード
混み合った電車に乗ったり、人ごみの中にいると頭痛・腹痛が起こるようになってしまった患者さん。 身体検査では特に異常はなく、パニック障害と診断しました。投薬治療直後から症状は改善。 半年ほどで電車や人ごみで頭痛・腹痛は発症しなくなり、投薬を中止することができました。